アトリエ便り


2月になってしまいました。やっぱり鬼は外に出てってほしいですね。

2月26日
2:23am
んなことやってる場合じゃないときに限って、マメに日記を書くもんだ。
前半戦が終了し、第1便の荷物を送って、ちょっとハーフタイム。で、ビール。
いやー、でも今月って、あと何日残ってるんだ〜?
後半戦は、アンダリヤ刺繍の麻のバッグ、ビーズ刺繍のバッグ、
もひとつまだ生地が届いてないけどハンドルだけは決まってるバッグ、
と、つまりあと2日で3個作らなくちゃいけないわけだ。
じつは、そのうち2個はデザインもまだ確定してない。
けど、明日はディナーの約束が・・・ひょえーっ
と思いつつも、夜更けに長い長いアウトラインステッチを刺している。
ビール飲みながらやるにはちょうどいい難度の作業だけど。
きっちり今月中に片付けて、すっきりした気分で3日のf1開幕戦に臨みたいもんだ。
がんばれ、佐藤琢磨。
お。今日は猫ネタなしだぜ。
2月25日
3:59am
猫ネタは、まだまだ続く。
ミケコ(仮名)は、果たしてこのまま「ミケコ」でいいのか?
という話になり、どう考えても似合わないからそうするつもりはなかったけれど
試しに「ピート」のことを持ちだしてみたら、
とんでもないところで偶然の一致をみてしまい、あえなく却下。
ダメもとで、もうひとつ考えてあった候補を口にしてみたら、なんとなく採用された。
彼女が生まれたのは2001年8月30日。
(誕生に立ち会ったコメ・ニコラさんのシンガポール旅行記に記されている)
さて、フランスでは、365日それぞれに聖人の名前がつけられていて、
子どもが生まれたら、基本的にはその中から名前を選ぶという習慣がある。
(最近じゃ、そんな伝統は無視して斬新な名前つけちゃったりもするらしいが)
だから、自分が生まれた日のほかに、洗礼名の同じ聖人の祝日ってのがあって
手帳にも「fetes a souhaiter」という一覧表が載っている。
そこで8月30日を調べたら、「st fiacre」。なーんだ男の子の名前じゃん。
じゃ、無理矢理ながら一日前は? 「ste sabine」。
おおっ、なんと、「サビーヌ」とは!
大好きなアンドレ・ピエール・ド・マンディアルグの短編集『黒い美術館』の
1発目に収められてる『サビーヌ』は、(とっても平たく言えば)
ラブホテルの浴室で手首切っちゃう18歳の女の子の話なんだけど、
私は勝手に、線が細くて色素の薄い女の子の名前っていうイメージを持っていた。
「brigitte」とか「mathilde」とか「vivianne」って感じじゃないもんなー。
「sabine」。華奢で色白な、こいつにぴったりじゃんかー。
でもさ、「さびーぬ」って、音にすると「錆犬」みたいでさ、
なんだか、ボロボロになったアイボを連想させないか?
そんなんでいいのか? ・・・で、結局まだ保留。
2月23日
2:01am
アトリエのbgmは、だいたいにおいて有線を流しっぱなし。
e19(radio france international)かc4(nrj)が多いけど
この場合、耳にも神経使うので手が単純作業のときじゃないと効率を落とす。
ボサノヴァとかガムランとかオキナワンとかも頻度高いが、
まったりしすぎちゃうので、何にも追われてないときはいいけど、
いまのようにスピーディーに仕事を進めたいときには不向き。
で、こういうときには、もう何度も何度も聴いてるから頭も耳も使わずにすむうえに
調子にのってくりゃー歌詞だって覚えてるから歌えちゃうような
誰かのベストアルバムなんかが登場する。(最近は原田真二が多かったな)
本日は『greatest hits! of tatsuro yamashita』を引っぱりだしてみた。
「loveland, island」から始まるこのアルバム、
どこにやったか探そうとずっと思ってて、やっと見つけたよ。
(なんせ、tvに毒されやすいタチなもんでね)
「let's kiss the sun」「あまく危険な香り」「ride on time」
と、おいしいのが続いて、5曲目が「夏への扉」。
あっ、そうだ! いつか猫飼うことになった暁には
「ピート」と名付けようと思ってたころがあったっけなぁ、と思い出し、
本棚を探してみるが、なぜかこっちは見つからない。誰かに貸したままだっけ?
ピートって、牡猫だったよな。ハヤカワ文庫の表紙の絵は雉猫じゃなかったっけ?
牝のミケネコじゃダメか。ジンジャエール飲ませてみようかなぁ。
あーら、そして結局また猫ネタじゃーん。
2月22日
3:14am
じつはいま締切りのある仕事を抱えてしまっている。
今月中にバッグ5点、それらとお揃いのベルトやアクセサリーなども含めて
全部で10点製作しなければならない。しかも今月って、短い。
現時点で、完成しているもの1点、もうすぐ完成するもの3点。
ということは、まったく手付かずのものが6点あるというわけだ。
すごくいい調子で手が動いてぐんぐん進んで、しかも出来もよくて、
「うわ、めっちゃかわいいじゃーん。私って天才かも。」ってハイになるときもあり、
逆に、まるでさっぱりぜんぜんダメダメなときもあり。カレンダーを眺めながら、
「大丈夫、まだ○日もあるじゃーん」と呑気に構えてしまう時期と、
「やばい、○日しかない。間に合うのか?」と焦る時期が、
短いサイクルで交互にやってくる。まぁ、いつものことなんだけど。
でもぜったいに間に合うのだ、間に合わせられるのだ、とわかってるから
今夜もこうしてビール飲んでるわけだな。
それにしても、つくづくモノづくりって孤独な作業よね。
猫はちっとも手なんか貸してくれないしさ。
2月20日
0:57am
普通の入浴シーンを覗かれたんならよかったんだけど。
いや、覗きに来ることを想定して、ドアも半開きのままにしてたんだけど。
昨夜は夜更かししちゃったし、今日は寒風吹き荒ぶ中けっこう歩いたし、と、
最近お気に入りのグレープフルーツのバスジェルで思いっきり泡立てた中で
ひさびさに、クレイパックなんぞしていたときのこと。
ふと背後に視線を感じて振り返ると、バスマットの上で
まんまるな目をしたミケコが、固まっていた。
どした? きみも入る? 気持ちいいよー、と誘ってみるが固まったまま。
疑惑と驚愕とが入り交じった表情で、じーっとこっちを見てる。
あ、そっか。私いま茶色い泥仮面かぶった状態なんだった。
慌てて顔を洗ってみせて安心させる。もー、乾く前に洗っちゃったじゃんかー。
けど、作戦成功かも? お風呂に興味示してくれたってことは。
へへっ、もうちゃんと、きみのシャンプーも買ってあるもんね。
いつか引きずり込んでやる。
あ、またミケコ&お風呂ネタだったわ。
2月14日
2:22am
朝、バスルームからのただならぬ物音に目が覚めて駆けつけると、
洗面台の中にもトイレの中にも、私のセーターやら生地やら何かの花やら
いろんなものが詰め込まれてて、しかも水浸しの惨憺たる光景。
「ちょっと、ミケコ! あんた何やらかしたの〜?」と叫びながら
バスタブの中を覗くと、ちっちゃい塊がふたつ。
これがまたご丁寧に、超リアルな虎柄と豹柄。
え? ミケコったら、うちにきて1週間でまさか子猫産んじゃったの〜?
と、びっくりぎょうてんして、今度こそほんとに目が覚めたら
「どしたにゃ?」って顔したミケコが隣にいた。
なに? え、夢? だってほら、虎柄と豹柄の子猫が・・・
と、寝ぼけながらバスタブを覗いてみたけどなーんにも、いるわけない。
なんだったんだよぉ・・・?
夜になって、件のバスタブに浸かりながらつらつらと再現してみて考える。
そういえば、2日前と2年前と20年前が交錯しちゃうような
モチーフが随所にちりばめられていたっけねぇ。。。
なーんだ、私のせいか、こんな夢見たのは。
べつにバレンタインのせいではない。
ちょっと時空がずれちゃったのね・・・って『漂流教室』の影響かよ。
2月9日
1:21am
「2月8日は針供養の日」・・・と、ここに書いた記憶がある。
あれからもう1年も経ったのか。早いなぁ。。。
昨年はひとりで恐る恐る、浅草寺裏の淡島堂まで出かけたのだけれど、
今年はvictoriaさんをお誘いし、ついでに浅草散策としゃれこんだ。
遠い昔に住んでたことがある、っていってもたったの4カ月弱だし、
なんたって上京したばかりで地下鉄もろくに乗りこなせてない頃のこと。
山手線の西サイドばかりに気をとられてた若造だったし。
せっかく行くんだからと、軽くネット検索なぞして下調べをし、
お昼ごはん処候補の洋食屋と喫茶店(カフェではないぞ、断じて)を
いくつかリストアップしておいて正解だった。
結果、とってもストレートな「オムライスとポタージュスープ」、
そして「プリンアラモードとブレンドコーヒー」をいただいて大満足。
山手線の西サイドにありがちな、勘違いしたオレなりのアレンジが皆無の、
原形を保ったまま脈々と続いてきたものの静かなパワーを感じた。
浅草公会堂前では、海老一染太郎師匠の手形の上に置かれた
白い菊の花籠に、思わず手を合わせてしまった。
そうしている間にも、サンバカーニバルの練習? 
と思われるパーカッションの音がどこかから聞こえ続けていた。
浅草って深い。それを理解するには及ばぬうちに離れてしまったことが
いまでは悔やまれるけど、理解できる大人になったことが嬉しくもある。
でもいま住んでたらフラワー通りの居酒屋街でへべれけになってたかもしれない。
たまに行くからいいのかもね、浅草は。
2月7日
0:17am
小っちゃくてフワフワしててみゃーみゃー言うしっぽの長いヤツが
我が家にやってきたのは、ほんの4時間ほど前のこと。
最初は、「ここはどこ?」状態だったのか、
離れ離れになってしまった母と兄を探してたのか、
鳴いてばかりいたくせに、いまじゃベッドの上で爆睡してる。
よかった〜。。。とりあえず、ひと安心。
お気に召して貰えなかったらどうしようかと心配だったのだけど。
生まれた国を遠く離れて長旅してきたばかりだもんね、お疲れなのね。
キミが生まれ育ったシンガポールほどじゃないにしろ、
ここんち、暖かいでしょ? 今夜はぐっすりおやすみ。
あたしゃー嬉しくて眠れそうにないけど。
2月2日
0:05am
帯はまだしも着物をほどく根気は持ちあわせていないので、
ほどくのが得意な根気強い人に依頼してみた。
薄謝としてちょっと珍しいお菓子など同梱しつつ、着物を3枚送っただけなのに、
初めて見る帯やら誰かの羽織裏だったらしい絹やらいろいろ詰め合わされて、
倍以上に増えて帰ってきた。紅絹の端切れまで入ってる。
もちろん、じゃがいもとか梅干しとかそういうものも入ってる。
「届いたよありがとう」と電話して、ひとしきり生地の話に花が咲く。
「あの絣はたぶん麻だと思うよ、すごくきれいに仕立ててあった」とか
「ウールのやつはところどころ虫食い穴があいてたから気をつけて裁ちなよ」とか。
ほどくのもまたいい勉強になるそうだ。昔の人の手仕事の跡を辿る作業だからね。
「欲しいのがあれば、片袖分くらいなら取っといていいよ」って言っておいたら
ほんとに少し取られたらしい。母は何を作るのやら。
2月1日
2:55am
何がきっかけだったのかはわからない。
めちゃくちゃ唐突に思い出した。
久しぶりにレイ・ブラッドベリなんか読んだからなのか、
クラフト・エヴィング商會の本を手にしたからなのか、
さっき誰かがtvの中で初恋の話をしていたからなのか、
私が最近「失われた時を求めて」モードだからなのか、
さらにそれを喚起するようなタイミングで
『漂流教室』に件のプルーストの本が登場するからなのか、
やっぱり私はストレートロン毛男フェチだということを再認識したからなのか、
因果関係はまったく不明なんだけど。
1975年頃に日テレ系で放映されていた『少年探偵団』って番組があったの、
知ってる? 「bd7」ってやつ。
あ、まだ生まれてない? そりゃー失礼。
なんたって四半世紀も前の話だからな。
団員のトンボって役やってた辻辰行くん、すげー好きだった、
ってことを、さっき、ほんとに唐突に思い出してしまって動揺した。
あー。。。テーマソングのサビのところがリフレってるぞーぃ。


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