アトリエ便り


9月と聞いた途端に夏が終わったことを思い知らされますね。寂しいような嬉しいような。

9月30日
1:57am
大学卒業後、いったんはネクタイ締めて就職したものの、
紆余曲折を経たのち長野で農業を始めた後輩がいる。
昔から彼を知る者としては、納まるところに納まったな
というか、天職を得たなという印象なのだが。
先日、2年ぶりか3年ぶりかすら思い出せないくらい久しぶりに電話があり、
車で東京まで来た帰り道に、りんごジュースを届けに寄ってくれた。
彼が育てたりんごで作ったジュースのびんと、そのりんごと、ぶどうを一房。
ありがたく頂戴して大事にいただいたのだが、いやぁほんとにおいしかった。
りんごはしっかり歯ごたえがあって、甘くて、でもきちんと酸っぱくて。
ぶどうも小粒ながらぎゅっと旨味が詰まってる感じで。
赤いマジックで品種名と生産者名を書いた大きなガラスびん入りの
りんごジュースは、もったいなくてまだちびちび飲んでいる。
生産者の顔が見えない農業製品に慣れきってしまったけれど、
もとからよく知っている生産者が作ったものをいただくのって感慨深いな
と思いながら、いや待てよ、昔はそれが当然だったんだ、と気づく。
毎日食卓に上るものは、祖母の田んぼで採れた米だったり、
叔母の畑で採れたメロンだったり、近所の誰かさんから貰った野菜だったり、
或いは自分ちの畑からの収穫物だったりしたものだった。
天気のいい日には昼間っから多摩川の河原に繰り出して
いっしょにビール飲んでた頃とぜんぜん変わってない彼のことだから、
農薬や化学肥料を使って生産性を上げるのに腐心するようなことは
絶対ありえないと信じられる。きっと素敵な農夫になっていくんだろう。
(私の卒業式の夜に、多摩川縁で手折った桜を一枝キルシュのびんに飾り
「卒業祝い」と言って届けてくれたことは、いまだに母と私の間では語り草である)
おいしいりんごを作り続けておくれよ〜。そのうち遊びに行くからさ。
9月24日
11:59pm
予定外の帰省で、リフォーム中の実家の手伝いをしてきた。
私が帰ったときには、お風呂が済んでキッチン改装の最中だったので、
食器棚の中身が全部和室に積み上げられてる状態。
冷蔵庫も反対向いてるし、オーブンもはみ出してるし・・・。
年季の入ったオーブンは、よく見たら1980年製造ってシールが貼ってある。
そうそう。子どもの頃これでしょっちゅうシュークリームとかパイとか焼いて
学校に持っていって昼休みに食べたりしたもんだった。。。
なーんて遠い記憶を思い出しながら、
「ずいぶん世話になったのに、ずーっと放ったらかしでごめんよ」
と、ピカピカに磨いてやったら、まだまだがんばってくれそうな様子。
食器棚に戻すお皿やグラスも、この際ついでだと思って
漂白液に浸けたり磨いたりしてキレイにしてあげた。
いままでにも年に何度かは帰省していたけど、
こんなに1個1個の食器や台所用具たちと密に関わってなかったので、
なんだかひさびさに再会を果たしたような気分。
磨きながら目をつけたいくつかのカップやお皿は、
そのうち譲ってね、と、母にちゃっかり予約してきたけど。
9月15日
0:05am
ミシンの前にぽつんと座ってみてもなんだかヤル気が出ない。
でもミシンは踏みたい。そんなときは雑巾を縫うに限る。
古いタオルを切って積み上げ、ミシンの針目を粗くセット。
ペダルを思いっきり踏み込んでダーッと周りを縫い、対角線に×を入れる。
そのまま糸を切らずに続けて何枚も縫う。
縫い目が曲がったって、しょせん雑巾なのでかまわない。
あっという間に雑巾が8枚もできあがってしまった。
ストレス解消におすすめ。真ん中は×じゃなくてもいいしね。
9月12日
7:57pm
思えば、昨日の昼間は大雨に紛れてベランダの掃除をし、
台風のニュースを見ながら、
15号が向かう先の北海道の実家は改装工事を始めたばかりだけど大丈夫か?
16号が足踏みしてる真下にある沖縄の親戚の家は大丈夫か? 
河川敷が水面下に消え失せた多摩川のそばの友人宅は大丈夫か?
・・・などと心配していたのだった。
台風一過の東京はせつなくなるほどキレイな夕空で、
窓を開けてしばらく眺めていた。
それらのことが、すごく遠い記憶に感じる。

長い夜が明けてみたら、空は爽やかに晴れ渡っていた。
バスの中から確かめるように新宿の高層ビル群を見上げ、
バスを降りて落ち着かない気分で地下街を歩く。
それでも新宿はいつもどおりに動いていることがかえって不安で
一晩中見ていたtvの強烈な映像とのギャップが大きすぎてくらくらし、
そそくさと家に帰ると、見たこともないような凄い夕刊が届いている。

合掌。
9月10日
2:14am
じつは、このところ身辺いろいろ変化があったのでご報告。
まずは、えーっと、たぶん今月中にアトリエの引越し。
と言っても同じ区内だし、そんなに遠くじゃないんだけどね。
それと、ひょんなご縁から、とある地方のお店に
xixiangのバッグを置いてもらうことになり、
いま現在はその納期に向けて必死で製作中。
同時進行でここのショップに出す予定のも作ってるんだけど
正直言って、ちょっとままならない感じ。
引越し前後の時期はたぶんネット環境も整わなくて
お店の運営もスムーズにいかなくなるかもしれないけど、
そのときはちゃんと置き手紙残しておくから、待っててね。
9月6日
7:55pm
新宿オカダヤのゴールドポイント会員特別優待セールに行ってきた。
全品2割引、っていうのは年に何度かあるんだけど、
セール時はポイントがつかないのがお決まりだったのに、
今回はさらにポイントもつくというスペシャルなやつ。
5%還元だから結果的に25%offってことになる。これは大きい。
いやー、、、買った買ったー。気持ちいいくらい買った。
あいかわらず、いつ何に使うのかは未定なんだけど。
この間浅草橋に行って、いろいろ買い込んだばかりなのに。
でも、こうやって集中的に材料を溜め込んでおく時期があってこそ、
その後、静かにアトリエにこもって製作できるんだもん。
と、財布の中身は考えないことにして自分を納得させつつ、
それってなんだか冬眠前の熊みたいだよなぁ、と思ってしまった。
しかし、冬眠前の労働は腰にくる。重かった。。。
あ、ゴールドポイント会員のみなさま、日曜日までだよ。
私ももう1回行くぞ。
9月5日
0:45am
バッグの新作補充もままならないんだけど、
ブックカバー売り場もsold outだらけだから、
そろそろなにか補充しなければなぁ・・・とここ数日思っていた。
作りかけのバッグも糸がなくなっちゃったから買いに行かなきゃだし
っていうわけで、なんとな〜く今日はブックカバーを何枚か縫った。
そしてさっき、ほぼ毎晩覗きに行く『book bar 4』
「おかえりあのね」に行ってみたら・・・。
ああ、そうか、それで今日私はブックカバーを縫っていたのか。
4~kamaさんから先日ちらりと予告は受けていたものの、
このタイミングにちょっと鳥肌。
葉書文庫本 にて、またまた帆布のブックカバーが登場してるので、見てね。
9月1日
11:53pm
このところ天気がぱっとしないものだから、
夕方は早めにミシンの手元ランプをつけなきゃいけない。
自宅もアトリエも、昼間は天気がよければ日がいっぱい入って明るい。
でも夜は、蛍光灯とかそういう明るい照明がないので、
じつは夜なべ手仕事にはぜんぜん向かない環境なのだ。
それでも視力がまったく落ちない私って、早々に老眼になっちゃうのかなぁ。
それはともかく。
のっぺりと灰色に薄暗くなってきた部屋の中で、
今日もミシンのランプだけぽつんとつけてカタカタやってたら、
すっと一条の光が差し込んできて、部屋の温度が変わった。
慌てて窓のそばに行ってみたら、
周りは一面灰色なのに、西の空だけぽっかりと
今日眺めてたインドシルクみたいな色に染まってた。
ボーダー状に雲が混じってるところが、ほんとにインドシルク。
こんな濃い〜色の夕焼け、久しぶりに見たような気がする。
なんだか嬉しくなって、その後さらに3時間くらいカタカタやったのだった。


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